5・「何故、動いてくれないんだ。」~営業2課リーダーの挫折
私は大学卒業後、コピー機の飛び込み営業の会社に就職しました。
入社してすぐにメーカーの研修を受けました。
「我々は、うだつの上がらない奴らを知っている~。売って、売って、売りまくるぞ~」
とホースを叩きながら絶叫する研修でした。
研修最終日は、地図を与えられ100件以上の会社に飛び込みました。
(私は131件飛び込んで札幌地区の記録を更新しました。)
その後、会社に戻りひたすら飛び込みの毎日でした。
最初の受注は5月の最終週でした。上司に同行してもらいながらですが、物を売る事の喜びを知
りました。その後は、売るコツをつかみ新人記録が視野に入り始めました。営業の仕事の醍醐味
を味わっていました。その年の年末に、上司が、当時日本に進出し始めた外資系保険会社の仕
事を始めるために会社を辞めるという事を聴きました。上司は翌年の3月末に会社を辞めて、私
は入社2年目で営業2課のリーダーとなりました。学生時代に自分でサークルを立ち上げイベン
トも度々成功させていたので人を動かすことに対して自信がありました。しかし、年上の部下たち
は私の言う事を全く聞かず、全く動きませんでした。どうして良いのか分からず、まずは自分が売り
上げを上げれば部下も動くだろうと個人の営業成績を求めてがむしゃらに働きました。しかし、私
の個人成績は上がるものの営業二課の売上目標は達成されないままでした。
左後方の社長の席からの「内海君、内海君」の声を聴くのが苦痛でたまらなくなりました。体が社長の声を拒絶するかのように左耳が聞こえなくなりました。後にメニエル病と診断されました。「会社が悪い。社長が悪い。部下が悪い」と全てを他人の責任に転嫁して逃げるように会社を退職したのは8月の事でした。本書は当時の私のように部下を動かせない悩みを抱え苦しんでいる人に対して役に立てればとの想いを込めて書きました。本書は当時の私に読ませるつもりで書きました。