第一の要因は認識のズレです。人間は自分の見たいように物事を見て、聞きたいように聞く動物です。このため、会社の目標は、社員にとって都合よく解釈されます。理解していると思っている事も、各人の思い込みにより、違った認識となります。現状と目標との間に問題があると認識している人とそうでない人とが同じ会社の中にいれば、会社全体として認識は共有出来ません。めざす目標が共有できないままでは目標は達成できません。
第二の要因は不十分な行動量です。売り上げは外部要因に左右されます。唯一計測できる事は行動量です。営業の仕事は職人技と言う人もいます。卓越した成果を上げる人は職人です。しかし、本書が目指す第一段階は、誰がやっても成果が出る普通の営業です。
そのために行動量で成果が出せる仕組みを構築する事です。
人は目標達成出来るようになるためある程度の量が必要です。しかし、過去に失敗体験があると、行動しなくなります。また、過去の成功体験があれば成功体験に固執してしまいます。よって変化を拒んでしまいます。分かっちゃいるけど出来ない。分かっちゃいるけどやりたくない。行動無くして目標を達成出来るわけがありません。
第三の要因は仕組みです。会社に仕組みが無ければ個人個人が勝手に成果を求めて行動する。個人商店の集まりになってしまいます。組織としての効率は上がりません。誰もが当たり前のことを当たり前に出来る仕組みを構築する事が必要です。
上記の3つの理由が、社員の心理に「諦めの壁」を作ります。入社した当時には持っていた「この会社で頑張りたい」という思いが、いつの間にか自ら「諦めの壁」を作り自ら目標達成を諦めるようになってしまいます。

上記の3つの壁が、社員の心理に「あきらめの壁」を作る。入社した当時には持っていた「良い仕事をしたい」という思いが、いつの間にか「諦めの壁」となっている。『隠れた人材価値』で、知識を実行に転化することが重要だとして挙げられている。