<コラム1.新入社員教育係としての24時間365日 近江兄弟社時代>
私が近江兄弟社で部下を育成するようになったのは、32歳の時でした。
最初の就職先(コピー機の飛び込み営業)では、4月に入社してその年の12月には課の売上責任者となり、「何をどうすれば良いのか?」全く分かっていませんでした。「兎に角、自分が売り上げを上げれば部下も頑張ってくれるだろう。」と頑張り続けましたが、結局部下は誰一人ついてきてくれませんでした。
その当時の失敗があったので、転職してからは部下育成、マネジメントの本を読んだり、自分なりに勉強をするようになりました。その時たまたま手にしたのが「コーチング」の本でした。
部下を育てるには、1.話を聴く事が大事。2.人にはタイプがある。3.質問で本人に考えさせる。
と言った視点は当時の私には全く欠けていたので新鮮でした。
当時の近江兄弟社の営業部門では新入社員を採用して店舗向け営業力を強化しようとしている時期でした。
私が33歳の頃、新入社員を3人も同時採用しました。
(社員数が90名程度の会社で1年に3人同時に採用する事は非常に大きな賭けでもありました。)
そして、その3人が全くタイプが違っていました。
私はエクスプレッシブタイプで、入社した3人はドライバータイプ、アナリティカルタイプ、エミアブルタイプでした。
ドライバータイプの部下は、自分で勝手に自分なりに目標を決めて勝手に突っ走っていきます。
アナリティカルタイプの部下は、私の発言や行動に対して逐一質問して自分が納得しない限り動きません。
エミアブルタイプの部下は、私が困っている事が無いか、チームの和が乱れていないか気にし過ぎて自分からは動きません。
当時の私は社宅に住んでいました。その社宅は寮も併設されていました。私は1階で、新入社員が3階に住んでいました。職場は同じで帰ってくる場所も同じです。朝は別々に通勤しますが、帰りはほぼ毎日のように一緒にどこかで飲んで帰りました。私が営業先から社用車で社宅に直帰すると寮から降りてきて誘われます。
このような生活を続けていましたが、チームの結束というのは、必ずしも、いつも全員一緒でなくて良い事が分かるようになりました。
ドライバータイプやアナリティカルタイプは自分の考え方を持っているので、「みんなと一緒」に価値を置きません。
当時の私は、誘わない事はダメな事だと思っていたのですが、必要な時に正しく目的を伝える事で十分に彼らは動ける事を身を持って知る事が出来ました。一方、エミアブルタイプの1人は、人と共感する機会を多く持つ事に価値を持ちます。
ですので、用事が無くても電話を掛けたり、声をかけたりする事が彼にとって大事な事だと分かりました。
24時間365日一緒にいる事で、上司と部下の適正な距離感をつかむことが出来るようになりました。
この経験が現在のコンサルティングの現場で活かされています。
※なお、エミアブルタイプの元部下は今でもたま~に電話をかけてきます。