問いかけと復唱で部下に「自分の仕事」として自覚させる
人の話を聞いただけでは、「自分の仕事」として自覚させる道半ばです。
部下本人が自分の言葉で話せるようになってようやく自覚出来た状態です。
では、なぜ問いかけが大事なのでしょうか?
人間は人の話を聞いただけでは、概念としての理解に留まるからです。
頭では分かる状態です。
それを自分の言葉で復唱し直す過程で、自分の理解度と不明点、相違点を整理するからです。
オートクラインとパラクライン
人間が物事を理解する際に
オートクラインとパラクラインと呼ばれる仕組みがあります。
自分が発した言葉を最初に聞くのは自分です。
言葉に出しながら、その言葉を聞いて理解を深めているのです。
全く考えてもいない事を突然質問されて、
「あれ?何でこんなことを言ってるんだろう?」と感じた経験はありませんか?
本人が自覚していない事が質問により気づき、引き出されるのです。
コーチングが質問を多用するのはこうした理由からです。
問いかけが重要な理由としてもう一点、上司であるあなたと部下とでは知識・経験・情報量が違います。
しかし、上司は自分の過去を全ては覚えていません。
自分にも出来なかった事、知らなかった事が過去にあり、失敗した経験があったはずです。
あなたの経験上、あなたには、部下がこれから行おうとしている事が予想できます。
部下がこれから行おうとしている事が失敗につながる事まで予想できます。
だから、あなたは部下がそうならないようにアドバイスをするのでしょう。
しかし、経験したことの無い部下にとっては全てが未知の事です。
あなたが伝えたことは「頭の中」では理解出来ても、実際には「何を言っているのか分からない」のです。
そこで、あなたは部下に問いかけてください。
「それをやるとどうなるんだろうか?」
「相手はどう思うんだろうか?」
「実現させるためには何が問題になるだろうか?」
部下に問いかけながら、不明瞭な点を明らかにしてください。
そして、部下にまとめさせて自分の言葉で発言させてください。
部下は「やらされる」仕事としてではなく、「自分の」仕事として取り組むようになるでしょう。