10.嫌われる勇気

ある二代目経営者の話である。
彼は人に嫌われたくない。
彼は色んなセミナーに顔を出して人脈を広げていた。
昼は一応仕事で、週末と夜はセミナーなどのコミュニティと寝る間も惜しんで活動していた。あまりにも忙しそうで辛そうだったので、
「無理してるんじゃないの?」と声をかけた。
すると、
「いえ、今はとっても充実しているんです。毎日勉強になっていますし、友達も大勢出来ました。もっと多くの人と友達になって人脈を作りたいのです。」
と答えた。
私は
「それはただの知り合いが増えているだけじゃないの?
 本当の友達ってそんなに多くはいないと思うし、大勢いる必要もないんじゃないの?」
と答えた。
未だに会社の業績は向上せず毎日忙しそうなままだ。
みんなに好かれるのは大変だ。
「自分」の未来の夢や希望ではなくみんなの「現在」のために
夜と週末にエネルギーを消費して消耗していった。

自分の未来を切り開くためには仲間との付き合いが減るのは当然だ。
しかし本当に一所懸命に仕事をすると、理解してくれるお客様が必ず現れる。
「みんな」には嫌われるかもしれないが、
目の前のお客様に全力で取り組むことで次のお客様が現れる。
そして、
次のステージに登る事が許されるようになる。
全ては「嫌われる勇気」を持てるか持てないかの違いだ。

経営者団体、地域コミュニティ、学校のOB会など仕事以外ばかり忙しくなり業績が上がらないで困っている経営者は、もう一度自分の仕事は何かを棚卸して欲しい。
その仕事に不要な人間関係に好かれる必要は無い。
また、嫌われる事を恐れる人は周囲の目が気になっている。
その他大勢から抜け出すためには、今までの楽な環境を脱出しなくてはいけない。
地域の顔なじみの経営者団体、異業種交流会を卒業し、高いモチベーションを持つ人と会うと今までの仲間達からは「変な目」で見られることになる。
それでも、抜け出て成果を得て欲しい。
「周囲の目が気になるから、なかなか違った事が出来ないんですよ。」
との相談を聴くが、変な目で見られるけど、会社の経営が上手くいくのと、
変な目では見られないが、会社の経営がダメになるのではどちらを選ぶのか?
答えは自明のはずなのだが、
「変な目」で見られることを選びたくないようだ。
いつまでも「その他大勢」の中にいたいのであればご自由にと言いたい。
その他大勢から抜け出すことは
周囲に理解者と誤解者を作り出す事になる。
さらに成長を続けると
ごく少数の理解者と多くの批判者、批評家に囲まれることになる。
あなたが経営者として会社を成長させたいのであれば
「周囲に変な目で見られる」事を越え続けることに他ならないと肝に銘じてほしい。