戦国武将になぞらえて行動パターンを分類する

 戦国武将になぞらえて行動パターンを分類する
これまでお会いした経営者の皆さんは「うちの社員は、どうしてオレの言う事を分からないんだろう?」と悩んでいる一方で、「あいつ(=ある特定の社員)は、オレが言う前に察して動けるんだよ。」と言います。
確かに、その社員はあなたの意思を推し量るコミュニケーションスキルが秀でているのでしょう。
しかし、その社員があなたの意思を推し量れるのはコミュニケーションスキルが優れている理由だけではありません。
あなたと部下が同じ絵を同じように見る事が出来ているからです。
前述の老婆の例のように、あなたとその社員だけが老婆の絵を見ているのかもしれません。
もう一つの理由として
あなたと行動パターンが似ているのかも知れません。
本項では、人の行動パターンを知り、その人の行動パターンに応じたコミュニケーションの方法を活用して人を動かす事をお伝えします。

  パターンに分けると言うと、日本では血液型分類が多く使われます。
一般的には、A型は神経質、O型は大雑把、B型は自己中、AB型はマイペースのように分類しています。血液型の分類方法は科学的根拠が無いため、実際の仕事の場面では使えません。
本書では、1968年アメリカの社会学者デビッド・メリルとロジャー・リードが、対象者の言動の表れ方で人間の社会的特性を分類しました。以後、人間関係を科学的に捉えるツールとして多くの企業や組織で活用されているのがこのソーシャルスタイルによる分類方法です。人間は4つのソーシャルスタイルに分けられます。元々はアメリカ海軍が潜水艦の乗組員同士の円滑なコミュニケーションを図るため考案されたモデルです。
似たタイプは人間関係のトラブルが少なく、敵対するタイプはトラブルの発生確率が高いと言われています。何カ月も同じ艦内で生活を共にする乗組員同士のタイプをバランス良く配置することで帰還率が高まったとも言われています。
本書で採用している方法及び質問はプレジデントコンサルティング株式会社伊藤氏の監修の元作成致しました。

この分類方法では、
自己主張が強いかそうでないか。の思考開放度の軸と
感情表現が豊かかそうでないか。の感情開放度の軸の2軸で4つのパターンに分類します。

 
私も当初はソーシャルスタイル分類と呼んでいましたが、カタカナが得意でない経営者には、戦国武将に例えて説明するようになりました。
ソーシャルスタイル分類、4つのタイプなどコミュニケーションの研修機関ではそれぞれの呼び方がありますが、本書はコミュニケーションの理論書ではないため、戦国武将になぞらえて解説します。
「あいつは突っ走って信長みたいなところがあるよね。」
「あいつは調子良くって秀吉みたいだね。」
「あいつは辛抱強い家康みたいだね。」
「あいつは理路整然としていて光秀みたいだね。」
泣かぬなら殺してしまえホトトギス 織田信長
泣かぬなら泣かせて見せようホトトギス 豊臣秀吉
泣かぬなら泣くまでまとうホトトギス 徳川家康

1・織田信長型
左上の織田信長型の特徴は
・感情は出さないが、メリハリがあり力強い話し方をする
・しっかり目を合わせて話す
・短めの文章で、結論からはっきりと断定的に話す
・決断が速い
・大筋をつかんだら、より短時間に結果を出そうとどんどん進めていく
・人間関係より、仕事、課題を重視する
ワンマン社長と言われる経営者はこのタイプが多いです。
人に対しても、結論から話す事を求めます。
話が長い事を嫌います。

2・明智光秀型
左下の明智光秀型の特徴は
 ・感情を出さないで、穏やかな声で淡々と話す
 ・論理的で、順序立てた話し方をする
 ・冷静でビジネスライクな印象
 ・慎重で細かなことも見落とさない
 ・人間関係より、仕事、課題を重視する
私の部下にもこのタイプがいました。理系出身で研究者肌でした。
皆の前で自分の意見を言わないのですが、こちらから聴くようにすると、思いもよらない良い方法を提案してくれました。

3・豊臣秀吉型
右上の豊臣秀吉型の特徴は
・言葉・声・態度などすべてを使い、豊かに主張し、感情を表現する
・しっかりと視線をとらえ、感情を込めてアップテンポで話す
・まわりを巻き込みその気にさせ、楽しませる話し方
・直感的に決断するので、即決即断
・まずは強い人間関係を築くことにエネルギーをかける
起業家に多いように思われます。
普段の私はこのタイプです。

4・徳川家康型
右下の徳川家康型の特徴は
 ・声にも態度にも、穏やかに感情をにじませる
 ・皆に目配りをしながら、同意を得るように、ゆっくり話す
 ・問い掛けるように、相談を持ちかけるように話す
 ・皆を励まし、サポートすることが得意
 ・仕事、課題に取りかかる前に、まずは、人間関係を築く
昔の日本のおかあさんタイプですね。
細々と色んなことに気配り、目配りします。

皆さんの部下も、どれかのタイプに分けられるのではないでしょうか?
感覚ではなく下記のセルフチェックリストを使った分類方法をお伝えします。
 
下記でご自分のタイプを自己診断しましょう。
Q1.あなたは以下の軸でみるとA,Bのどちらに近いですか?
A              B
話し好き・・・・・・・・・・・・・物静か
速いペース・・・・・・ゆっくりしたペース
主導権を取る・・・・・・まわりに合わせる
相手の目を見る・・・・・相手から目を外す
支配する・・・・・・・・・・・・・・従う
断言する・・・・・・・・・・・問いかける
競争的・・・・・・・・・・・・・・協力的
外交的・・・・・・・・・・・・・・内向的
自己主張する・・・・・・・自己主張しない
   合計
あてはまるものに〇をつけA、Bの合計欄に数を記入してください。

Q2あなたは以下の軸でみると1,2のどちらに近いですか?
1             2
冷静・・・・・・・・・・・・興奮しやすい
ゆっくり・・・・・・・・・・・・・・活発
仕事優先・・・・・・・・・・・・友人優先
クールな表情・・・・・・・・・温かい表情
気持ちを抑える・・・・・・・気持ちを表す
落ち着きがある・・・・・・・・・にぎやか
事実を重んじる・・・・・・意見を重んじる
感情に左右されない・・・感情に動かされる
声のトーンが一定・・・・抑揚のある話し方
合計

あてはまるものに〇をつけ1、2の合計欄に数を記入してください。
AとBの数でAが多ければ思考開放度が高いと言えます。
1と2の数で1が多ければ感情開放度が低いと言えます。
この場合は、ドライバータイプと分類出来ます。
あなたはどのタイプでしたか?

このタイプ分けの視点で部下を分類してみてください。
そのタイプに応じた伝え方をしてください。
上述の各タイプの特徴を考えて伝え方を変化させてみてください。
私は、会社員時代に自分と違う3タイプの部下を育成しました。
「普通はこうだろう」「自分ならこうする」が全く通じませんでした。
上記の各タイプに当てはめて伝え方を変えると伝わり方が驚く程変化しました。
皆さんも是非実践してみてください。

左側の人との会話では結論を重視すると効果的に伝わります。
論理的に思考する人が多いため、なかなか結論に辿り着かない会話が苦手です。
一方、右側の人との会話では共感を重視する事が効果的です。
感情豊かな人が多いため、「いきなり結論」を投げかけるのではなく、周囲の人がどう思っている
のか。人を話題にする事がコミュニケーションを良好にするカギとなります。

 3.立場が人を作る
また、組織の一員としての役割に応じてタイプを変化させる場合もあります。
この分析方法を考案した伊藤氏は普段は左下のアナリティカル=明智光秀タイプなのですが、
コンサルタントとしてプロジェクトを引っ張る役割になった時にはコントローラーを演じているとの事です。
私は秀吉タイプですのでお客様の会社の中に入り込んでムードメーカーとして動く事は得意です。
しかし、理路整然と論理的に整理整頓する事を求められることもあります。
立場に応じて対応していますが、素でいる事が一番楽です。
人が数人集まると自然と必要な役割を補うようになります。世の企業でも社長にふさわしいから社長になった人ばか
りでは無く、社長になったから社長にふさわしい立ち居振る舞い、判断、が出来るようになった人も多くいます。
立場が人を作る事についてスタンフォード大学での実験結果があります。
看守役と囚人役とを演じる実験をした結果、看守役はより看守らしく囚人役はより囚人らしくなった。
囚人と看守の例えほど極端ではないが、
「社長になって初めて社長の苦しさを分かる。」とは承継社長の共通した言葉だ。

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